長距離の便が入った翌日、ドライバーから「昨日は長かったですよ」と言われて、配車表を見返す。出発と到着の時刻は書いてあるのに、その日の拘束時間が何時間だったかは、書いてありません。

配車の時点で拘束時間が見えていれば、便を 1 つずらすだけで済んだかもしれません。この記事では、配車担当が押さえておく範囲に絞って、改善基準告示の拘束時間の考え方を書きます。細かな例外や特例は、告示の本文と厚生労働省の解説でご確認ください。

拘束時間とは何か

拘束時間は、始業から終業までの時間です。運転している時間だけでなく、荷待ち、荷役、点呼、そして休憩の時間も含みます。「ハンドルを握っていた時間」ではなく「会社に拘束されていた時間」と考えると分かりやすいです。

対になる言葉が休息期間です。勤務が終わってから次の勤務が始まるまでの、ドライバーが自由に使える時間を指します。

配車表に書いてあるのは便ごとの出発と到着なので、その日の最初の出発の前にある始業から、最後の到着の後にある終業までを見る必要があります。点呼や日常点検の時間は、便の時刻の外側にあります。

1 日の拘束時間は原則 13 時間、上限 15 時間

トラック運転者の改善基準告示(2024 年 4 月改正)では、1 日の拘束時間は 13 時間以内が原則で、延長する場合でも 15 時間が上限です。ここでいう 1 日は、始業から起算した 24 時間です。

休息期間は、継続 11 時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9 時間を下回らないことになっています。拘束時間が 15 時間の日は、休息期間が 9 時間で、ぎりぎりです。

このほかに、1 か月と 1 年の拘束時間の上限、運転時間や連続運転時間の決まりもあります。また、宿泊を伴う長距離運行などには例外があります。この記事では扱わないので、告示の本文でご確認ください。

配車表で拘束時間を見えるようにする

配車表で拘束時間を見るには、便ごとではなく、ドライバーごとに 1 日をまとめて見る必要があります。Excel なら、ドライバーごとにその日の最初の出発時刻と最後の到着時刻を取り出して、差を出す数式を組みます。そこに、始業から最初の出発まで、最後の到着から終業までの時間を足したものが、拘束時間の目安になります。

ここで大事なのは、翌日の始業も一緒に見ることです。今日の終業が 22 時で明日の始業が 5 時なら、休息期間は 7 時間しかありません。1 日ずつ表を分けていると、この「日をまたぐ」問題に気づけません。

数式で組むのが難しければ、まずは「その日に 13 時間を超えそうなドライバーに印を付ける」ことから始めると、配車の時点で便をずらす判断ができます。

無料の配車表メーカーの 13 時間警告

私が公開している無料の配車表メーカーは、ドライバーごとに、その日の最初の出発から最後の到着までを拘束時間の目安として計算し、13 時間を超えると警告を出します。便をドラッグで車両に割り当てるたびに計算し直すので、便を 1 つ増やしたときにどのドライバーが超えるかが、その場で分かります。

ただし、この計算は便の時刻だけを見ています。始業から最初の出発まで、最後の到着から終業までの時間は含んでいません。休息期間や、月・年の上限も見ていません。告示の判断そのものに使うのではなく、「配車の時点で気づく」ための目安としてお使いください。Excel の配車表の項目については 配車表を Excel で作るときの項目と、限界が来るサイン に書きました。

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出典

  • 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」(2024 年 4 月改正、トラック運転者)