朝、最初のドライバーが出てくる前に運行管理者が事務所に来て、アルコール検知器の電源を入れます。ドライバーが来たら顔を見て、検知器に息を吹いてもらい、体調を聞いて、今日の注意点を伝える。そして点呼記録簿に書く。この流れは、どの会社でも大きくは変わりません。
変わるのは「何に書くか」です。紙の記録簿、Excel、専用のシステム。この記事では、点呼記録簿に書く項目を整理したうえで、紙・Excel・ブラウザのそれぞれの向き不向きを書きます。
点呼の 3 つの種類
貨物自動車運送事業輸送安全規則では、点呼は乗務の前と後に行い、どちらも対面でできない乗務では、途中で電話などによる点呼を行うことになっています。現場ではそれぞれ、乗務前点呼、乗務後点呼、中間点呼と呼ばれています。
乗務前点呼では、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足などで安全な運転ができないおそれがないか、日常点検を行ったかを確認し、運行上の指示を出します。乗務後点呼では、その乗務の車両・道路・運行の状況を報告してもらい、酒気帯びの有無を確認します。運転者を交替した場合は、その通告の内容も報告に含めます。中間点呼では、酒気帯びの有無と健康状態を確認し、必要な指示を出します。
酒気帯びの有無の確認には、アルコール検知器を使うことが規則で決められています。目視だけでは足りません。
記録簿に書く項目
規則と、その運用を示した通達で求められている項目を並べると、次のようになります。
- 点呼の種類(乗務前・乗務後・中間)
- 実施した日時
- 点呼の方法(対面、電話、その他)
- 運転者の氏名と車両
- アルコール検知器を使ったかどうかと、酒気帯びの有無
- 健康状態(疾病・疲労・睡眠不足など)
- 日常点検の状況(乗務前)
- 指示した事項
- 乗務後は、車両・道路・運行の状況と、交替時の通告
- 点呼を執行した人の氏名
様式は決まっていないので、これらが漏れなく書けていれば、紙でも Excel でも構いません。私が無料の点呼記録簿メーカーを作ったときも、この項目をそのまま入力欄にしました。
保存は 1 年
点呼の記録は、1 年間保存することが規則で決められています。監査のときに見られるのは記録です。書いた記録をどう保管するかまでが、点呼の仕事に含まれます。
1 年分となると、紙なら月ごとに綴じた束が 12 か月分、Excel ならファイルの置き場所とバックアップ、という話になります。保存の方法や様式の細かな適否は、管轄の運輸支局や各社の顧問にご確認ください。
紙・Excel・ブラウザの向き不向き
紙は、書く場所が 1 か所で、運行管理者が自分の手で書くので確実です。困るのは検索です。「先月の 15 日、あの人の乗務後点呼は誰がやったか」を探すのに、綴じた記録をめくることになります。
Excelは検索ができ、月ごとにファイルを分ければ保存も楽です。困るのは、朝の忙しい時間に 1 行ずつ打ち込む手間と、行を消してしまっても気づきにくいことです。点呼のたびに Excel を開いて保存する、を毎日続けるのは意外に負担です。
ブラウザのツールは、入力欄が決まっているので項目の漏れが出にくく、ドライバー名は候補から選べます。困るのは、パソコン 1 台の中にしかデータが無いことと、検知器やクラウドと自動でつながらないことです。
まず無料の点呼記録簿メーカーで試す
私は、上の項目をそのまま入力欄にした無料の点呼記録簿メーカーを公開しています。乗務前・乗務後・中間点呼を、点呼方法・アルコール検知結果・健康状態・指示事項・執行者つきで記録し、日付ごとの一覧を A4 で印刷できます。月末に CSV で書き出して保存しておけば、1 年分の保管にも使えます。
登録は不要で、データはお使いのブラウザの中にだけ保存されます。複数の営業所で共有する、検知器の結果を自動で取り込む、配車や勤怠とつなげる、といったところは無料版ではできません。そこから先は、御社向けに作る範囲です。
出典
- 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(第 7 条 点呼等)
- 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」